◆ トピックス ◆
Ⅲ 地震・津波・火山に関するきめ細かな情報の提供
トピックスⅢ-1 巨大地震対策
(1)南海トラフ地震とは
南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖までの南海トラフ沿いのプレート境界で概ね100から150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震です。過去の事例では、想定震源域のほぼ全域で同時に地震が発生したことがあるほか、東側半分の領域で大規模地震が発生し、時間差をもって残り半分の領域でも大規模地震が発生したこともあります。前回の南海トラフ地震は、昭和19年(1944年)に起きた昭和東南海地震と昭和21年(1946年)に起きた昭和南海地震で、この2つの地震は約2年の時間差をもって発生しました。

平成29年(2017年)9月に中央防災会議は、現時点では、「大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言後に実施される地震防災応急対策が前提とする地震の発生時期や場所、規模に関する確度の高い予測は困難である」と指摘しました。一方、南海トラフ地震について「地震発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まっている」と評価することは可能であるとも指摘しています。これらを受けて、気象庁は南海トラフ全域を対象に地震発生の可能性の高まりについてお知らせする「南海トラフ地震臨時情報」等の「南海トラフ地震に関連する情報」を運用しています。

「南海トラフ地震臨時情報」が発表された際には、改めて事前の備えを確認しておくことに加え、政府や地方公共団体からの呼びかけ等に応じた防災対応をとることが大切です。さらに、実際に大きな地震が発生した場合に、緊急地震速報や津波警報等を昼夜問わず見聞きできるようにしておくことも重要です。
なお、「南海トラフ地震臨時情報」については、以下の事項に留意が必要です。
○本情報の発表がないまま、突発的に南海トラフ地震が発生することもあります。
○地震発生の可能性が相対的に高まったと評価した場合でも、南海トラフ地震が発生しないこともあります。
○南海トラフ地震の切迫性は高い状態にあり、いつ地震が発生してもおかしくありません。
昭和東南海地震が起きてから今年でちょうど80年が経過し、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まってきていると考えられています。南海トラフ地震から自らの命や家族の命を守るためには、突発的に地震が発生した場合を想定し、日頃から家具の固定、避難場所・避難経路の確認、家族との安否確認手段の取り決め、家庭における備蓄等の備えを確実に実施しておくことが重要です。
(2)「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用から1年
日本海溝・千島海溝沿いでは過去に巨大地震が繰り返し発生しており、大きな地震の後に、さらに大きな地震が発生した事例もあります。
大きな地震が発生すると、それに続く次の地震「後発地震」の発生可能性が、平時より高まると考えられます。このため、令和4年(2022年)12月から、想定震源域及びその周辺でマグニチュード(M)7.0以上の地震が発生した場合には、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表することとしており、運用開始から1年あまりが経過しました。
「後発地震」が必ず発生するとは限りませんが、この情報を見聞きしたら、地震への備えの再確認と、「後発地震」の発生時にすぐに津波から避難できる準備をお願いします。また、地震は突発的に発生することの方が多いので、日頃から家具等の固定や避難場所・避難経路の確認等を行い、地震に備えておきましょう。


(3)緊急地震速報の発表基準に長周期地震動階級を追加
巨大地震が発生した場合には、広い範囲で長周期地震動による被害の発生が想定されます。長周期地震動による高層ビルでの人の行動の困難さの程度や、家具や什器の移動・転倒などの被害の程度が、震度では分かりにくいという特徴があります。近年の高層ビルの増加により長周期地震動の影響を受ける人口が増加していることや、長周期地震動により人命に係る重大な災害が起こるおそれがあることなどから、気象庁として広く国民に警戒・注意を呼びかける予測情報を発表することが必要とされました。
気象庁ではまず平成25年(2013年)3月に長周期地震動階級を導入しました。長周期地震動階級とは、長周期地震動による人の行動の困難さの程度や、家具や什器の移動・転倒などの被害の程度から4つの段階に区分した揺れの大きさの指標です。次に、長周期地震動に関する観測情報の試行的な提供を平成25年(2013年)3月28日から気象庁ホームページ上にて開始し、平成31年(2019年)3月19日に本運用へ移行しました。そして、令和5年(2023年)2月1日に、緊急地震速報の発表基準に長周期地震動階級を追加しました。
長周期地震動に対する基本的な防災行動は、通常の揺れに対するものと同じです。日頃から家具類が倒れたり移動したりする可能性を考え、配置に気を付けたり家具類を固定したりすることで、被害を軽減することができます。地震が発生した場合には、家具類や照明機器などが「落ちてこない」、「倒れてこない」、「移動してこない」空間に身を寄せ、頭部を保護し、揺れによる転倒に備え、体勢を低くして身の安全を確保することが重要です。
緊急地震速報では、人が「身構える」ためのシンプルな呼びかけが重要であるとともに、聴覚に障害のある方や日本語を母国語としない方など、情報の受け手に応じた適切な伝達の方法について、民間事業者の協力のもとでの利活用推進が期待されています。機械による利活用では、館内放送などの自動化の取り組みが進んでいます。さらなる利活用に向けては、エレベーターの停止や最寄り階でのドアの開放、また、ガスの供給停止、病院の機器やプラントの制御などで、官民連携による取り組みの活性化が課題です。
長周期地震動の発生も予想される南海トラフ、日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震をはじめとした巨大地震対策が進められています。民間組織とも連携・協力し、この情報を広く社会で活用いただけるよう取り組んでいます。

(4)巨大地震対策に関する普及啓発の取り組み
南海トラフ沿いや日本海溝・千島海溝沿いで発生が懸念されている巨大地震では甚大な被害が想定されますので、地震や津波について正しく理解していただくとともに、いざという時には気象庁が発表するこれらの情報を被害軽減のために最大限活用いただけるよう、普及啓発の取り組みを進めています。特に、令和5年(2023年)は、甚大な被害をもたらした関東大震災から100年となったことから、過去の大災害から学び、改めて地震・津波への備えを再確認いただくため、様々な機会を捉えて普及啓発の取り組みを進めました。今年は昭和東南海地震の発生から80年にあたるほか、来年は兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)から30年にあたります。今後も、このような節目の機会を捉えて普及啓発を行っていきます。
南海トラフ地震臨時情報や北海道・三陸沖後発地震注意情報については、情報の発表がなく突発的に地震が発生することもあること、情報が発表されても大規模な地震が発生しないこともあること、などの留意点があること、その内容やキーワードに応じてとるべき防災対応について、被害が想定される地域の住民に対し平時からしっかりとした普及啓発が必要と考えています。気象庁では、オンライン講演会の開催(後述)のほか、内閣府等と連携してマンガ冊子の配布、SNSによる情報発信、デジタルメディアと連携したインフォグラフィックの作成、ホームページでの解説の充実、地方気象台を通じて行う地方公共団体等への普及等、様々な普及啓発の取り組みに努めています。また、巨大地震の際には特に被害が顕著となる長周期地震動や、近年普及の取り組みを進めている「津波フラッグ」の周知も含め、地震動や津波への備えについても普及啓発を進めていきます。




(5)令和5年度 巨大地震対策オンライン講演会
ここまで述べてきたように、巨大地震の発生が懸念されている中、令和5年(2023年)は関東大震災(大正関東地震)から100年にあたることや、令和4年12月の「北海度・三陸沖後発地震注意情報」の運用開始から1年が経過したことから、「強い揺れ・ゆっくりとした大きな揺れ・津波に備える~繰り返し発生する巨大地震への理解と防災・減災~」をテーマとして令和5年12月16日(土)に巨大地震対策オンライン講演会を開催しました。
4名の講師から地震、津波、長周期地震動の基礎的な知識に加えて、防災・減災のための日頃の備えや心構えについて講演がありました。気象庁 束田 進也 地震火山技術・調査課長からは「地震・津波の基礎知識と気象庁の情報」についてお話し、東北大学 今村 文彦 災害科学国際研究所教授からは、日本海溝での事例を例に「津波災害の実態と減災に向けての取り組み」を、工学院大学 久田 嘉章 建築学部教授からは巨大地震の際の「長周期地震動のメカニズムと高層建築の対策」を、宮城県 大内 伸 復興・危機管理部防災推進課長からは、地方公共団体の立場から「巨大地震・津波の被害想定と必要な備え・行動」についてお話しいただいています。(役職は講演会当日のもの)
Zoomウェビナーにより行ったライブ配信では、事前の視聴登録者数は定員の1,000名に達し、当日は全国から626名の方に聴講いただきました。各講演の最後ではチャットにより多くの質問が寄せられ、講師から回答をいただきました。また、各講演の模様を令和6年1月から1年間の予定で、YouTubeでアーカイブ配信しています。


トピックスⅢ-2 緊急地震速報の技術的改善について
これまで緊急地震速報の震源や地震の大きさの推定処理においては、それぞれの観測データに適した複数の手法を併用することでその迅速性と精度向上を図っていました。その処理の際に、それぞれの結果が同一の地震によるものか否かを判定した上で、発表に用いる震源とマグニチュード(M)を推定していましたが、この複数手法の震源推定結果の「同一地震判定」を誤ってしまうと、揺れを過大予測してしまう場合があるという課題がありました。例えば、平成30年(2018年)1月5日に茨城県沖の地震(M4.5、最大震度3)と富山県西部の地震(M4.0、最大震度3)が同時発生した際や、令和2年(2020年)7月30日の鳥島近海の地震(M6.0、震度1以上の観測なし)の際には、震源とM計算に用いた観測点の振幅値との「同一地震判定」の誤りにより、過大な警報を発表しました。
この課題に対応するため、緊急地震速報の震源推定手法について、改良を加えたIPF法(※)に一本化する運用を令和5年(2023年)9月26日より開始しました。これにより、すべての観測データを改良したIPF法で処理することで、「同一地震判定」を用いずに震源とMを推定できるようになり、揺れの過大予測を防ぐことができました。
気象庁では引き続き、緊急地震速報の精度向上のための技術的改善に努めてまいります。


トピックスⅢ-3 活動火山対策特別措置法の改正について

近年、富士山の市街地近郊での新たな火口の発見といった、活動火山対策においてこれまで想定してきた火口の範囲の拡大が生じたことに加え、桜島における大規模噴火の可能性が指摘されるなど、日本全国で火山活動が活発化した際の備えが急務となっています。このような状況を受けて、噴火災害が発生する前の予防的な観点から、活動火山対策の更なる強化を図り、住民、登山者等の生命及び身体の安全を確保することを目的に、活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律(以下「改正法」という)が令和5年(2023年)の第211回通常国会において成立し、今年4月1日に施行されました。
この改正では、次のこと等が定められました。
・8月26日を「火山防災の日」とすること
・火山現象の発生時における住民や登山者等の円滑かつ迅速な避難のために必要な情報を、情報通信技術の活用等を通じて迅速かつ的確に伝達すること
・火山に関する調査・研究を一元的に推進するための火山調査研究推進本部を文部科学省に設置すること
(1)火山防災の日が始まります
改正法では、国民の間に広く活動火山対策についての関心と理解を深めるため、8月26日を「火山防災の日」とすることが定められました。「火山防災の日」には、防災訓練等その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めることとされ、気象庁では「火山防災の日」に関連した普及啓発の取り組みを行っています。
「火山防災の日」として定められた8月26日は、日本で最初の火山観測所が明治44年(1911年)に群馬県・長野県の県境にある浅間山に設置され、火山観測が始まった日です。
当時の浅間山の火山活動は、明治42年(1909年)から顕著な噴火が相次いで発生するようになっており、浅間山麓の住民は天明3年(1783年)に発生した天明噴火のような災害の再来を恐れ、浅間山の活動に対する関心が高まっていました。このため長野県知事が文部省の震災予防調査会に対して浅間山の調査を依頼し、同調査会幹事の大森房吉の尽力により、明治44年8月26日、浅間山の西南西山腹(通称、湯の平)に我が国最初の火山観測所が長野県予算で建設され、震災予防調査会と長野県立長野測候所の共同により火山観測業務が開始されました。
しかし、この火山観測所は、地震や噴火の観測を行う場所としては適していましたが、厳しい寒さにより冬期の観測は大変困難で、噴火時には噴石の落下範囲内となるなど、過酷な立地環境の場所にありました。このため、新たな火山観測所として、大正12年(1923年)7月に浅間山の南山麓に「浅間火山追分観測所」が建設され、一年を通した浅間山の観測体制が整えられました。
その後様々な変遷を経て、気象庁軽井沢測候所(現:軽井沢特別地域気象観測所)に引き継がれ、現在は気象庁火山監視・警報センターが浅間山の火山観測を行っています。




コラム
●「火山防災の日」特設サイトを開設しました
初めての「火山防災の日」を迎えるにあたり、国民の皆様に活動火山対策についての関心と理解を深めていただくために、気象庁ホームページ内に「火山防災の日」特設サイトを開設しました。
この特設サイトでは、「火山とは?」から始まり、火山災害から身を守るための知識や気象庁の火山防災情報について解説しています。各火山の写真や魅力を通じて火山を知っていただくためのコンテンツを揃えており、中学生や高校生、また、火山には馴染みのない方でも読みやすい内容となっておりますので、学校やご家庭での日頃の災害対策の見直しや、地域の防災教育等にご活用ください。
「火山防災の日」特設サイトは以下のURLからご覧ください。
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/tokyo/kazanbosai/index.html



コラム
●火山観測発祥の地ツアー
「火山防災の日」が定められることになったことを踏まえ、国民の皆さんに活動火山対策についての関心と理解を深めていただくための周知広報の一環として、気象庁記者クラブ加盟の報道機関を対象とした現地説明会(火山観測発祥の地ツアー)を令和5年(2023年)10月13日(金)に実施しました。
浅間山南西の標高1,400メートル付近をスタート地点として、地元の小諸市が管理している登山道(火山館コース)を登山しました。浅間山火山防災連絡事務所の職員が、過去の噴火により火砕流が流れて焼き尽くされた場所や登山道に飛来した大きな噴石などについて要所要所で解説しました。標高1,950メートル付近にあった観測所跡には設置当時のコンクリート製の地震計台が今も残っており、この場所で国内初の近代的な火山観測が行われていた歴史について、当時の写真も示しながら説明しました。記者の方々は一斉にカメラを向けて、「この立地が選定された理由は?」「設計思想は現代にも通じるものはあるのか?」などの質問を投げかけながら、非常に関心を持って説明を聞いていました。参加した記者の方々からは、「一般の登山道に噴火の痕跡が残っていることを知って、浅間山は活火山なのだということを改めて感じた」「最後に比較的規模の大きな噴火が起こったのは20年以上も前になるので、地元の人に取材をしている中で、噴火災害が風化していることに危機感を持っていた。改めて活火山の脅威について伝えたいと思った。」という声が寄せられました。
なお、本ツアーは改正活動火山対策特別措置法施行前のプレ企画として実施しましたが、本年は施行後初めて「火山防災の日」を迎えることから、観測所跡の文化財調査を行っている小諸市教育委員会や、長野県を始めとした関係機関とも連携した登山ツアーの実施や火山防災意識の向上に寄与する様々な取り組みを行いたいと考えています。また、令和7年(2025年)には、国としての気象業務が150周年を迎えることから、様々な記念広報事業の企画・検討を進めています。この150周年記念事業に向けた機運も高めていくため、「火山防災の日」などに係る広報活動を積極的に展開していく予定です。


コラム
●浅間山のマグマ供給系と噴火活動

東京大学名誉教授(気象庁参与)
武尾 実
浅間山は爆発的噴火を行う国内でも有数の活火山で、20世紀初頭から1960年代初めに掛けて、活発な噴火活動が継続した。そのため、浅間山の火山活動の観測は100年以上前から始まっており、世界的に見ても最も長い観測の歴史を持っている。これらの観測を元に、東京大学の水上武教授により、火山性地震の分類や噴火予測手法など、その後の火山学の礎となる研究が進められた。
2003年以降、浅間山及びその周辺の地震・地殻変動の観測網は、気象庁、東京大学、国土地理院などの関係各機関により高度化された。特に、東京大学地震研究所が山頂火口(釜山)の火口壁の東西に設置した二つの観測点では、高性能の地震計による地震観測の他に、地殻変動、空振、可視・赤外映像、火山ガスなどの多項目の観測が実施されるようになった。この時期、2004年9月1日の中噴火から始まる一連の噴火活動により、浅間山の火山活動についての貴重な観測データが得られるようになった。また、人工地震探査や広域の地震観測網データを用いた解析から、浅間山及びその周辺域の地震波速度構造が解明された。その結果、浅間山の直下ではマグマがどの様に上昇してきているのか明らかになり、そのマグマ供給系と噴火活動の関連性がより深く理解されるようになった。

浅間山の下では、深部から上昇してきたマグマは海面下5−10kmの地殻上部では浅間山の西約10kmにあるマグマ溜りに蓄積され、そこから浅間山西麓の海抜0km付近まで東西に延びた板状の形態(ダイクという)で上昇してくる。そこから山頂直下まで移動し、火口直下の火道(マグマの通り道)に沿って真っ直ぐ上昇してくる。2004年9月から始まる噴火活動や2008年8月、2009年2月~3月にかけての噴火活動、2015年6月の噴火活動に先行する前駆現象は、このマグマ供給系に沿ったマグマ上昇と山頂直下の火道浅部の状態によって整合的に理解できる様になった。一方、2019年8月の火口周辺約200m程度の範囲に影響を及ぼしたごく小規模な噴火では、これまでの前駆現象とは異なる現象しか観測されなかったが、この小噴火についても火道浅部の状態と関連付けて理解することが出来るようになった。この様な浅間山の火山活動についての最新の科学的知見を踏まえて、気象庁は浅間山の噴火警戒レベル判定基準の改定を順次進めている。
(2)火山調査研究推進本部の設置について
改正法では、文部科学省に特別の機関として火山調査研究推進本部(以下「火山本部」という。)を設置することが定められています。
火山の噴火現象は多様で予測が難しく、大規模な噴火が発生すれば、長期間にわたり広域に甚大な被害をもたらすことから、火山災害を軽減するためには、火山の観測や調査研究を実施し、火山活動を適切に評価することが重要です。今般の法改正により、国として、火山に関する観測、測量、調査及び研究を一元的に推進する必要性を元に、火山本部が設置されました。
火山本部は、火山に関する観測、測量、調査及び研究を推進することにより、活動火山対策の強化に資することを目的とし、以下に掲げる事務を司ることとされています。
①火山に関する観測、測量、調査及び研究の推進について総合的かつ基本的な施策を立案すること。
②関係行政機関の火山に関する調査研究予算等の事務の調整を行うこと。
③火山に関する総合的な調査観測計画を策定すること。
④火山に関する観測、測量、調査又は研究を行う関係行政機関、大学等の調査結果等を収集し、整理し、及び分析し、並びにこれに基づき総合的な評価を行うこと。
⑤総合的な評価に基づき、広報を行うこと。

火山本部には、政策委員会と火山調査委員会の2つの委員会が設置され、政策委員会では上記の事務のうち①②③⑤について調査審議が、火山調査委員会では④が行われます(図)。気象庁は、火山調査委員会が行う事務に関する庶務を文部科学省・国土地理院と共同で実施します。今後、政策委員会において、火山調査研究に関する総合基本施策や調査観測計画が策定され、当該計画に基づき関係行政機関や大学等において観測、測量、調査及び研究が実施されることが想定されます。また、火山調査委員会において、それらの成果を収集、整理、分析して総合的な評価が実施されます。このような形で、火山本部が司令塔となり、火山調査研究が一元的に推進されます。気象庁も関係府省庁と連携して対応してまいります。