噴火に関する用語

噴火に関する用語

分類 用語 区分 説明
噴火 火口から溶岩が流出する、もしくは火口の外へ火山灰等の固形物を放出する現象のこと。
気象庁では、噴火の検知力を踏まえて一定以上の規模のものを噴火として記録しており、火山灰等の固形物が噴出場所から水平若しくは垂直距離で概ね100~300mの範囲を超して放出または溶岩を流出した場合を「噴火の記録基準」としている。噴火の記録基準に満たない「規模の小さな噴出現象(ごく小規模な噴火)」もある。
備考 a) 噴火の確認方法は以下のとおり。
 ・監視カメラによって噴火の記録基準に合致すると考えられる現象が確認できた場合
 ・後日の現地調査で噴火の記録基準に合致すると考えられる現象が確認できた場合
 ・地震計・空振計等によって噴火の記録基準に合致すると考えられる現象が発生したと推定できた場合
 ・気象衛星で火山灰を含む噴煙を検知した場合。
 なお、噴火活動が活発な桜島においては、噴火の記録基準を満たす全ての噴火を確認することは困難な場合が多いため、統計的な均質性を図り、活動評価に資するため、噴火として記録する基準を以下のとおりとしている。
 ・爆発地震を観測し、一定規模以上の空振または大きな噴石の飛散を観測した場合
 ・噴煙の高さが火口の縁から概ね1,000m以上となった噴火
 噴火の記録基準に満たない噴出現象については、「規模の小さな噴出現象」あるいは「ごく小規模な噴火」等の表現を使用する。
b) 気象庁では、登山者や周辺の住民に対して、火山が噴火したことを端的にいち早く伝え、身を守る行動を取っていただくため、「噴火速報」を発表する。また、噴火を観測した場合は、「噴火に関する火山観測報」で噴煙の高さ等をお知らせする。
c) 桜島や霧島山で発生するブルカノ式噴火(爆発音や空振が発生し、周囲の岩石を破壊して大きな噴石を飛散する噴火)など、「爆発」の用語が地元で定着している場合には、「爆発」を使用することがある。
d) 噴火活動が活発かどうかは、噴煙の高さ、空振の大きさ、噴出物の量、大きな噴石の飛散距離等をもとに評価する。
e) 噴火した地点を記載するときは、火口名または「○○火口東壁付近」や「○○山○○池付近」といった記載をする。あるいは基準になる主峰からの方位・距離および標高などで示す。
噴火の規模 噴火の大きさのこと。通常は噴火の際に放出された噴出物の体積、または重量であらわす。
備考 a) 気象庁では、噴火の規模表現について厳密に定義していない(いくつかの火山の噴火シナリオで、学術的な定義とは別に規模を定義している)。
b) 噴出物量をもとに噴火の規模を記載する場合は、「噴出物量が○~○トンの△規模の噴火」という表現を使用する。
c) 噴火の記録基準に満たない噴出現象については、「規模の小さな噴出現象」あるいは「ごく小規模な噴火」等の表現を使用する。
d) 学術的な分類
 ・超巨大噴火
   噴出物量が1010トン以上の噴火。
   カルデラ噴火または破局(的)噴火ともいう。
 ・非常に大規模(な)噴火
   噴出物量が109~1010トンの噴火。
 ・大規模(な)噴火
   噴出物量が108~109トンの噴火。
 ・やや大規模(な)噴火
   噴出物量が107~108トンの噴火。
 ・中規模(な)噴火
   噴出物量が106~107トンの噴火。
 ・小規模(な)噴火
   噴出物量が104~106トンの噴火。
 ・ごく小規模(な)噴火
   噴出物量が104トン未満の噴火。
e) 大噴火、中噴火、小噴火、微小な噴火という用語は原則使用していない。ただし、浅間山など噴火シナリオで定義している一部の火山では、使用することがある。
規模の小さな噴出(現象) 気象庁の噴火の記録基準に満たない噴出現象のこと。
備考 例えば「火口内での火山灰等の噴出」あるいは「土砂噴出」などのように、噴出物や範囲を示して表現している。
ただし、火口から溶岩が流出する、もしくは火口の外へ火山灰等の固形物を放出すれば噴火である。「ごく小規模な噴火」を使用することもある。
主な事例 吾妻山:1966年 大穴火口内で泥水を噴き上げる活動。
草津白根山:1989年1月、1996年2月、2004年5月 湯釜で噴出現象、火口外に降灰なし。箱根山:2015年7月21日 大涌谷の監視カメラによる観測で、噴煙の高さが50m程度であったため、噴火ではなく噴出現象として記録した。
爆発 噴火の一形式であり、マグマに溶けていた気体や水が急激に気化・膨張することにより、周囲の岩石を破壊して、溶岩、破片状の固体物質、火山ガス、またはそれらと火山ガスの混合物が、急激に地表に噴出する現象のこと。多くの場合空振を伴う。
備考 a) 過去には、ブルカノ式噴火(爆発音や空振が発生し、周囲の岩石を破壊して大きな噴石が飛散する噴火)などについて、「爆発」を使用していた。
b) 現在は、原則として「噴火」で統一して使用するが、桜島や霧島山など、「爆発」の用語が地元で定着している場合には、爆発地震の有無、空振の大きさ、大きな噴石の飛散距離などの条件を満たす噴火について、「爆発」を使用することがある。
c) 爆発の特徴を有する噴火については、「爆発地震を伴う噴火」や「大きな空振を伴う噴火」等の表現を使用する。
爆発的噴火 破片状の固体物質を放出する噴火のこと。
備考 気象庁では、桜島や霧島山などにおいて、「爆発」と同じ意味で使用してきたが、学術的な定義と異なるため、「爆発」と同じ意味では使用しない。
水蒸気噴火 火山の地下にある水が加熱され、または減圧により、急激に水蒸気となって膨張することを駆動力とする噴火のこと。
備考 「水蒸気爆発」は原則として使用しない。
マグマ水蒸気噴火 地下でマグマと水が接触して、マグマの熱により水が液体から気体に変わり急激に膨張することを駆動力とする噴火のこと。溶岩流と湖水や海水などの、地表の水との接触によっても良く似た現象が起こる。
備考 「マグマ水蒸気爆発」は原則として使用しない。
マグマ噴火 マグマが放出される噴火のこと。
噴火が発生(した) 噴火の発生を観測した場合や噴火の発生をほぼ確実に観測できていると考えられる場合に使用する。
備考 「噴火した」を用いることもある。「噴火を観測(した)」は原則として使用しない。
噴火したもよう 噴火が発生したと推定される場合に使用する(連続噴火継続時に著しい噴煙の上昇等があった場合も含む)。
連続(的)噴火 「連続的に継続している噴火」の略称のこと。
噴火が発生した後、概ね30分以上継続して噴火(有色噴煙を噴出)していること。ただし、桜島については、噴煙の高さが火口の縁から概ね1,000m以上の有色噴煙を伴う噴火が継続した場合のことをいう。
連続噴火継続 噴火に関する火山観測報で使用する用語。
噴火が発生した後、概ね30分以上継続して噴火(有色噴煙を噴出)していること。連続噴火が継続している場合、6時間おきに噴火に関する火山観測報を発表し、噴火が継続していることをお知らせする。
連続噴火が継続しているもよう 噴火に関する火山観測報で使用する用語。
噴火が発生した後、視界不良等のため噴煙の状況が確認できなくなった場合、または噴火が推定される場合に、地震計等の観測データから噴火が概ね30分以上継続していると推定できること。
連続噴火停止 噴火に関する火山観測報で使用する用語。
連続噴火が停止し、概ね30分以上噴火の発生(有色噴煙の噴出)がないこと。
連続噴火は停止したもよう 噴火に関する火山観測報で使用する用語。
連続噴火が発生し、視界不良等で噴煙が確認できない場合に、地震計等の観測データから、連続噴火停止と推定されたこと。
噴火多発 噴火に関する火山観測報で使用する用語。
1時間当たり、噴火が概ね3回以上発生している状況の場合に使用する。この場合、噴火に関する火山観測報では、6時間おきに1時間ごとの噴火回数を取りまとめて発表する。