地震や火山現象等に伴い発生する津波

地震に伴い発生する津波

 海底下で大きな地震が発生すると、断層運動により海底が隆起もしくは沈降する場合があります。これに伴って海面が変動して津波が発生します。

 地震に伴い発生する津波では、津波よりも早く伝わる地震による揺れを地震計で検知して、地震の位置と規模を求めて、地震の位置と規模から推定される津波の高さと到達時刻を予測して津波警報等を発表しています(詳細は、「津波を予測するしくみ」参照)。

(地震に伴い発生する津波 の模式図)

地震に伴う津波

地震以外の火山現象等に伴い発生する津波

 津波は海底下で発生した地震の断層運動に伴い発生することが多いですが、火山現象等に伴い津波が発生することがあります。

(例)
・ 日本の沿岸付近、島嶼部の火山の山体崩壊や地形変化等に伴う津波
 (1792年 雲仙岳眉山「島原大変肥後迷惑」、1741年渡島大島)
・ 日本近海の海底噴火等に伴う津波
 (2021年 福徳岡ノ場、1952年 明神礁)
・ 海外の火山噴火の気圧波に伴う津波注)
 (2022年 フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ、1883年 クラカタウ)
 注)防災対応の中では「津波」として情報提供するため、本ページでは「津波」と表記します。

(地震以外の火山現象等に伴い発生する津波 の模式図)

火山活動による山体崩壊に伴う津波

 

大規模噴火による気圧波に伴う津波

海底地すべりに伴う津波
  • 地震による津波との違い
    • 山体崩壊や海底噴火などの発生は、衛星画像、監視カメラ、地震計・空振計等により覚知できることもありますが、発生する場所やその時の気象条件によっては火山現象等を覚知できないこともあります。
    • 現象を覚知できたとしても、津波を発生させるメカニズムが分かっていない現象もあり、津波が沿岸に到達する前に予想して津波警報等を発表することは極めて困難です。

 このため、通常は津波が観測されてからその状況により津波警報等を発表することになります。さらにその内容は随時切替えることがありますので、十分な留意が必要です。

取るべき行動

 火山現象等に伴い発生する津波でも、気象庁から、津波警報・注意報の仕組みを用いて注意・警戒を呼びかけます。

 津波警報等が発表された場合の取るべき行動は、地震に伴い発生する津波の場合と変わりません。

取るべき行動

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津波警報等に関する詳しい情報は、「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」のページをご覧ください。

地震や火山現象等に伴い発生する津波の情報発表

 地震や火山現象等に伴い発生する津波について、以下の条件で3つのケースに分類し、それぞれのケースでの情報発表の進み方(シナリオ)を示します。

 <分類の条件>

 ・リードタイム(事象発生から日本に津波が到達するまでの時間)が 短い/長い

 ・日本の陸地での揺れの あり/なし

 <ケース(クリックすると各ケースのシナリオを示す図に移動します)>

  ケース1:リードタイムが短く、日本陸地での揺れがある現象

  ケース2:リードタイムが短く、日本陸地での揺れがない現象

  ケース3:リードタイムが長く、日本陸地での揺れがない現象

※各ケースの「情報発表のシナリオ」の図は「火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方検討会(報告書)図表集」から引用

 シナリオに示すとおり、原則として、地震による津波では予測に基づいて津波警報等を発表するのに対して、火山現象等による津波では、国内の潮位観測値に基づいて津波警報等を発表します。

 いずれの場合も津波警報等が発表された場合にとるべき行動は変わりません。それぞれの防災上の留意事項を参考にして、行動することが重要です。

リードタイムが短い津波

<リードタイムが短い津波の場合の防災上の留意事項>
揺れを感じたら(噴火による山体崩壊や海底噴火を覚知したら)すぐに避難
津波警報等の情報を見聞きしたら、すぐに避難

<ケース1:リードタイムが短く、日本陸地での揺れがある現象>

○日本近海を震源とする地震による津波

<情報発表のシナリオ>

ケース1-1

<代表事例>
・平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 など

<情報発表>
・地震発生後3分を目標に津波警報等を発表、記者会見で呼びかけ。

地震に伴う津波

○日本の沿岸付近、島嶼部の火山活動による山体崩壊・海底噴火等に伴う津波

<情報発表のシナリオ>

ケース1-2

<代表事例>
・1792年雲仙岳眉山「島原大変肥後迷惑」など

<情報発表>
・津波が観測される前の情報発表は極めて困難。
・津波の原因となる火山現象等を観測できた場合、原則として国内の津波観測値に基づき津波警報等を発表、記者会見で呼びかけ。

火山活動による山体崩壊に伴う津波

<ケース2:リードタイムが短く、日本陸地での揺れがない現象>

○海底地すべりによる津波、日本の沿岸付近や島嶼部の火山噴火による地形変化・海底噴火等に伴う津波

<情報発表のシナリオ>

ケース2

<代表事例>
・1741年渡島大島の噴火 など

<情報発表>
・津波が観測される前の情報発表は、極めて困難。
・津波の原因となる火山現象等を観測できた場合、原則として国内の津波観測値に基づき津波警報等を発表、記者会見で呼びかけ。

海底地すべりに伴う津波

リードタイムが長い津波

<リードタイムが長い津波の場合の防災上の留意事項>
 予測が一部でも可能な現象は、
  ・「遠地地震に関する情報」を発表して、津波の発生の可能性をお知らせします
  ・最新の情報を入手して、避難の心構えと準備
  ・津波警報等を見聞きしたら、すぐに避難

<ケース3:リードタイムが長く、日本陸地での揺れがない現象>

○遠地地震による津波

<情報発表のシナリオ>

ケース3-1

<代表事例>
・2010年チリ中部沿岸の地震
・1960年チリ地震津波
など

<情報発表>
・地震発生後30分程度で、大きな地震が発生したことや、日本への津波の有無(調査中含む)について発表。
・海外の津波観測点で津波が観測された場合等に、続報を発表。
・日本への津波到達の2時間程度前を目途に津波警報等を発表、記者会見で呼びかけ。

地震に伴う津波

○海外の火山噴火による地形変化や気圧波に伴う津波、海外の火山の山体崩壊等や海底地すべりに伴う津波

<情報発表のシナリオ>

ケース3-2

<代表事例>
・2022年フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイの噴火
・1883年クラカタウの噴火

<情報発表>
・火山噴火や山体崩壊等の発生時刻が分かる場合には、到達予想時刻や津波の原因となる火山現象等の観測の状況について随時発表。
・衛星画像解析で明瞭な変化が観測された場合等、「津波発生の可能性が高まった」場合は、記者会見等で解説。
・津波の原因となる火山現象等を観測できた場合、原則として国内の津波観測値に基づき津波警報等を発表、記者会見で呼びかけ。

大規模噴火による気圧波に伴う津波

2022年フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイの噴火の際の衛星画像の例
火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方(報告書)図表集から抜粋)

衛星画像の例

 2022年1月のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火に伴う気圧波による津波では、日本に至る経路上の海外の潮位観測点では比較的小さな潮位変化でしたが、日本の太平洋沿岸における潮位変化の最大の高さは高いところで1mを超えました。このように、気圧波に伴う津波は、必ずしも火山周辺の観測点の潮位変化だけで判断できません。

 このため、火山噴火による気圧波に伴う津波の場合は、火山周辺の観測点で潮位変化が見られない場合であっても、気圧波のうち伝わる速度が相対的に遅い「大気重力波」が日本列島を通過するのを待って、「津波の心配はない」旨の情報を発表します。