日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震で想定される震度や津波の高さ
政府の中央防災会議は、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震(以下「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震」という。)について、科学的知見に基づき、想定すべき最大クラスの地震が発生した際の、震度分布や津波高を公表しています(日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会(内閣府防災ホームページ))。
これによれば、
・北海道では、根室市からえりも町付近にかけて10~20mを超える津波高となっており、高いところではえりも町で30m弱の津波。えりも町より西側の地域においても苫小牧市や函館市などで10m程度の津波。(千島海溝モデル)
・青森県では、八戸市で高いところでは25mを超える津波高となるなど、太平洋沿岸で10~20m程度の高い津波。(日本海溝モデル)
・岩手県では、宮古市で高いところでは約30mの津波高となるなど、10~20m程度の高い津波。(日本海溝モデル)
・宮城県以南については、宮城県や福島県などで場所によっては10mを超える津波高であるが、一部の地域を除き東北地方太平洋沖地震よりも低い。(日本海溝モデル)といった津波が想定されています。
(左)日本海溝モデルの想定沿岸津波高(満潮時)
(右)千島海溝モデルの想定沿岸津波高(満潮時)
また、最大クラスの津波を発生させるプレート境界の海溝型地震が発生した場合の震度分布については、
・北海道厚岸町付近で震度7(千島海溝モデル)
・北海道えりも町から東側の沿岸部では震度6強(千島海溝モデル)
・青森県太平洋沿岸や岩手県南部の一部で震度6強(日本海溝モデル)など、北海道から岩手県の太平洋側の広い範囲で強い揺れが推定されています。
(左)日本海溝モデルの想定震度分布図
(右)千島海溝モデルの想定震度分布図
※この震度分布については、最大クラスの津波を発生させるプレート境界の海溝型地震が発生した場合の推計結果であり、それぞれの地点では、他の海溝型地震、活断層による地震、沈み込むプレート内の地震の方が大きい震度となる場合があることに留意する必要があります。
なお、今回被害を想定した地震・津波は、千年に一度あるいはそれよりもっと発生頻度が低い最大クラスのものであり、実際に次に発生する地震の規模、震源断層域、揺れや津波の発生状況は、必ずしも想定どおりになるとは限りません。仮に、想定どおりの地震・津波であったとしても、被害の様相は季節、発生時刻、風速等の諸条件によって異なり、仮に対策に万全を期したとしても、想定し得なかった様々な被害事象が発生する可能性もあることに留意する必要があります。