推計気象分布
推計気象分布の概要
「推計気象分布」は、アメダスや気象衛星の観測データ等をもとに天気・気温・日照時間のきめ細かな分布を算出し、視覚的に把握できる情報です。 こちらを利用することで、アメダスなどの観測所のない場所の状況も把握できます。
この情報は、面的には1km四方のメッシュの細かさで、天気は5種類(晴れ、くもり、雨、雨または雪、雪)、気温は0.5℃毎および日照時間は0.2時間毎のそれぞれの単位で表します。また、1時間毎に更新します。
なお、観測所を含むメッシュの値は、そこでの観測データとは必ずしも一致しません。面的な広がりに着目してご利用ください。
推計方法
推計気象分布(天気)は、気象衛星ひまわりによる雲の観測データから晴れかくもりかを判定します。また、降水の有無は解析雨量を用いて判断します。雨か雪かの判別には同じく推計気象分布(気温)も用います。
この情報を利用することにより、気象レーダーや気象衛星など複数のデータを個別に参照することなく、容易に天気の分布を把握できます。
推計気象分布(気温)は、アメダスの気温観測値などを用い、標高による気温の違いも考慮して作成した情報です。
これにより、下の図のように、観測所のない場所でも標高に応じた気温の分布を知ることができます。
推計気象分布(日照時間)は、主に気象衛星ひまわりによる雲の観測データに基づき作成した、前1時間における日照時間の情報です。
これにより、下の図のように、観測所のない場所でも日照時間の分布を知ることができます。
過去の事例
九州の降雪
下図は、2022年12月23日 8:00の事例です。この日は強い冬型の気圧配置となり、西日本の広い範囲で雪となりました。 高知では積雪14cmを観測し統計開始(1912年)以来最深の記録となりました。
低気圧の通過に伴う天気の悪化
下図は、2024年6月21日 00:00~06:00の天気の変化を並べて示した事例です。 日本の南を低気圧が通過し西から順に天気が崩れたときのもので、時間とともに晴れやくもりの領域が東に移りながら、 更にくもりの領域の西側から雨域が広がりつつあることが分かります。 気象庁ホームページではこれらを動画表示で見ることもできます。
推計気象分布ではこのような最新の天気の状況を確認することができます。
関東の猛暑と北海道の低温
左図は、2015年8月5日 14:00の事例です。この日、群馬県の館林で14:40に39.8℃を記録しました。 推計気象分布で見ると、 関東地方の広い範囲で猛暑日となっている様子がひと目で分かります。
右図は、2016年1月25日 06:00の事例です。この日、北海道上川支庁の下川で06:26に-31.8℃を記録しました。 北海道の内陸部の広い範囲で-20℃以下となっていることが分かります。
利用する際の注意事項
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レーダー観測の非降水エコーや雨量計の異常値が現れた場合には、 推計気象分布(天気)で雨、雨または雪、雪として表示されることがあります。
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春分期(4月頃)及び秋分期(9月頃)の0時(日境界)頃において、一部の非降水域が資料なしとなる場合があります。 これは、気象衛星ひまわりの春分期・秋分期の太陽自動回避による画像欠損及び観測休止の影響を受けるためです。
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朝または夕方に「晴れ」の領域が過剰に広く表示されることがあります。 これは、日の出、日の入り前後に気象衛星が下層の雲を観測することが困難な場合があるためです。 以下の例では、7時(中)が該当し晴域が広く表示され、分布が前後の6時(左)、8時(右)と不連続となっています。
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推計気象分布(日照時間)では前1時間のうち10分間を超えて雲の観測データなどが入力できない場合、前1時間の推計として十分な品質を確保できないため情報として表示しません(背景色を表示)。 一方、入力できない状況が10分間以下であれば、概ね利用できる品質として情報を表示しますが、正常なものと区別するため凡例の上に品質マークを表示します。 入力できない状況が10分間以下である領域は、全体にわたるか、東西に延びる幅広な帯状に現れます。 品質が疑わしくなる原因である入力データの一部欠落は、保守などの理由で衛星観測が数時間にわたってできない期間の初めと終わりに起きます。頻度は年に数回程度を見込んでいます。