伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報について
伊豆半島東部の伊東市の沿岸から沖合にかけての領域では、群発的な地震活動が繰り返し発生しています。 1980~90年代には毎年のように発生し、それ以降も2~3年に1回の頻度で発生しています。 群発的な地震活動域が伊東市の市街地に近いことから、M5クラスの地震が発生すると伊東市を中心として震度5弱程度の強い揺れに見舞われ、 被害を伴うことがあります。
伊豆東部で発生する群発的な地震活動は、これまでに地震・地殻変動観測データや研究成果が多く得られており、予測的な評価が可能な事例の一つとして、地震調査委員会において評価手法の検討・とりまとめが行われました。 気象庁は、伊豆東部で群発的な地震活動が発生した際に、この手法に基づいて地震活動の見通しを評価し、「伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報」を発表します。
本情報は、報道発表に基づき、地震情報(その他の情報)の「地震の活動状況等に関する情報」として発表されます。 「伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報」は、その情報本文のタイトルとして用いられます。
なお、本情報で利用する予測手法は過去の地震活動から抽出した特徴を基にとりまとめたものであり、過去の活動と同様の形式で発生する地震活動を予測する手法です。
気象庁ひずみ観測点「東伊豆奈良本」(静岡県)の障害に伴い、「伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報」の運用を一部変更します。
見通しを発表する項目
伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報は、以下の各項目に関する見通しを含みます。
- 活動期間中に発生する最大規模の地震のマグニチュード
- その地震による伊東市における震度
- 伊東市において震度1以上を観測する地震の回数
- 地震活動が活発な期間の長さ
情報を発表する条件
伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報は、以下のいずれかの場合に発表します。
第1報
- 一連の群発地震活動の中で、最大震度5弱以上の地震が発生することが予想される場合、 もしくは、震度1以上を観測する地震が40回程度以上発生することが予想される場合。
続報
- 直前の情報から一定時間経過した場合(1日2回程度)。
- 見通しの内容の更新が必要となるような新たな状況の変化があった場合。
終了報
- 活発な地震活動が終了した場合。
- 伊豆東部火山群について噴火警報を発表した場合。なお、その後の地震活動の現状は噴火警報や火山活動解説資料等でお知らせします。
伊豆東部の地震・地殻活動の解説
- 伊豆東部の地震活動の特徴 伊豆東部で発生する地震活動の特徴について説明します。
- ひずみ変化と地震活動の関係 伊豆東部の地震活動時に、地殻のひずみはどのように変化するのかについて説明します。
- 伊豆東部の地震活動の予測手法について 伊豆東部の地震活動の予測手法について、その概要を解説します。
- 伊豆東部の地震・地殻活動 現在の伊豆東部の地震・地殻活動の状況をリアルタイムにお伝えしています。
伊豆東部火山群の噴火警報・予報及び噴火警戒レベルとの関係
伊豆東部で発生する群発的な地震活動と伊豆東部火山群における火山活動との間には、下図のような関係があると考えられています。
図.伊豆東部火山群における地震・火山活動。伊豆東部火山群の火山防災対策検討会による図を元に作成した。 図中のパーセント(%)の数値は、過去の事例と火山学的な知見に基づき推定された発生頻度を示す目安。
気象庁は、このような地震・火山活動の経過に対応して、伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報、伊豆東部火山群の噴火警報・予報及び噴火警戒レベルを発表することにしています。
伊豆東部で群発地震活動が始まり、伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報が発表されても、この段階ではまだ火山活動は静穏だとして、噴火予報(噴火警戒レベル1)の状態に変化はありません。
マグマの浅部での活動を示す現象が観測されるなど火山活動が活発化し、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される場合には噴火警報(噴火警戒レベル4または5)を発表します。噴火警報を発表した場合、伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報は終了し、地震活動の現状については火山情報の中でお伝えします。 気象庁は、伊東市、静岡県、火山専門家及び関係機関からなる伊豆東部火山群防災協議会に参画し、避難計画の策定、 防災教育や防災訓練の実施などの総合的な防災活動に携わっています。
関連する報道発表
- 伊豆東部火山群における「地震活動の予測情報」と「噴火警戒レベル」の導入について(平成23年2月28日)